旅に出たい。コーヒーとサンドイッチ、本を一冊持って。春たけなわなんてなる前にこそ、そう思う。自転車で、ウォーキングで。目的地をあちこち歩き探索。ミュージアム、記念館、ギャラリー...。知的好奇心を満たす。情報氾濫の今だけど、その日歩いて得た経験は自分だけの宝物になる。
春一番が吹く頃、たぶんまた海を渡りたくなる。フェリーに乗る、という行為、ただそれだけで、日常を離れる。どこかいつもの自分と切れる錯覚。博多湾に浮かぶ小さな島、能古島。そういえばここ数年ご無沙汰してた。久しぶりに出かけたくなった。フェリーが博多の街を背に、ゆっくり沖へ進む光景が目に浮かぶ。風はまだきっと冷たい。でも陽射しには柔らかさが混じり、冬の終わりを告げてる。デッキに立ち、白く尾を引く波跡を眺める、もうたぶん時間の流れがゆるやかになってる。